便利な世の中も考えもの。。。

フリーランス翻訳業をはじめてもう10数年経つが、インターネットの普及でここ数年単価が激減している。始めたころは、企業と直で契約して結構な額稼げていたのに、だんだん経費削減とやらで、翻訳は社内でやり始めた企業が増え、複数の翻訳エージェントと契約して、そこから仕事をもらう形になった。これも単価が年々下がっている。。翻訳業だけでは食べていけないので副業にと事務の仕事を始めたが、最近ではこっちのほうが本業化している感じ。このところ流行なのが、ひとつの文書を複数の翻訳者が翻訳するというクラウドベースの形態で、私のエージェントも最近それをやり始めた。
クライアントから翻訳の依頼があると、その文章が一文ずつ細切れでオンラインのサイトにアップされ、登録されている翻訳者が好きな時間にログインして好きな箇所を翻訳するという形。

これだと、納期にコミットする必要がなく、クラウドベースなので、移動時間中にスマホから作業するなんてことも可能で結構便利なんだけど、翻訳者の質にむらがありすぎる。
きちんとした翻訳会社だと、まずユーザー登録するのに基本的な英語力テストをするのだが、ここのエージェントはそれがない。なので、必然的に誰でも翻訳者として登録できてしまう。

そして、どんなに質が悪い翻訳分でも、アップしてしまえば翻訳料を支払ってもらえる。
私は主に、複数の翻訳者の約した文章を一貫性のある文体に直したり、誤字脱字のチェックをする校正を頼まれるのだが、この前校正した文書はひどかった。おそらく機械翻訳をそのまま載せたような、不自然極まりない文章。そして明らかに単語の意味を間違えている誤訳のオンパレード!たぶんひとりの質の悪い翻訳者による仕事なのだろうが、校正に支払われる単価は翻訳よりも安いのに、この文章は校正というよりは翻訳のし直しがほとんど。さすがにこれはエージェントに苦情を言って、単価をあげてもらったけど。。。後にやっぱりこのひどい翻訳の主はひとりのユーザーで、このユーザーは登録抹消されたらしい(当然!)

このエージェントは海外ベースのエージェントなので、最終的な日本語を見れるスタッフが少ないらしい。私が校正してなかったら、あのひどい訳文がそのまま納品されていたかと思うのぞっとする。。。。